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January 17, 2005

難しい問題

久々の更新となりました。
昨日のTBS「報道特集」は、北朝鮮に拉致された可能性の
高い2名と思われる写真の流出を報じていました。
放送終了後の19時に特定失踪者問題調査会がこの旨を
発表、各メディアが一斉に報じるという状況でしたが、恐らく
タイミングからして、TBSの極めて有効なスクープに調査会
が仁義をきった形になっていたのでしょう。脱北者などの
ソースをあたり専門家の鑑定を交えて少しづつ証拠を固める
構成も見応えがありました。そういえば埼玉で起こった愛犬
家殺害や女子大生刺殺事件など闇に葬られようとした事件
を掘り出したのも新聞やテレビでした。これこそがマスメディア
の使命だといえるでしょう。その一方で同じマスメディアでは
連日、ノロウィルスの話ばかり報じられています。珍しくもない
ウィルスを突然変異の奇病のように報じるのは疑問です。
今ではエスカレートしてかつてのレジオネラ菌やスギヒラタケ
のように日本中がウィルスまみれのように報じる始末です。
数千人が感染といわれますが1億人以上という分母を置き
去りにしているのも問題。これ以上犠牲者を増やさないよう
注意喚起する目的なら責任を持って報道を続けてもらいたい
ものです。一次のブームのように扱うのなら、HIVや結核の
感染問題を定期的に扱ったほうがよっぽど有効です。

さて、先週は青色LEDの訴訟について8億円で和解が成立
しました。内容についてもう説明する必要はないでしょう。
東京地裁の200億円の判決も話題となりましたが、苦渋の
決断で半キレ状態の中村氏の様子も印象的でした。不謹慎
ながら、人はキレるとこうなるという意味で勉強になりました。
これも説明する必要はないかもしれませんが、青色LEDの
発明で世界は大きく変わりました。これで光の3原色が揃い
モニターがより色鮮やかになりましたし信号機などにも順次
導入されています。初めて見る信号の色はセンセーショナル
ではありますが、何よりも街角で見かけるイルミネーションが
強烈に印象に残ります。暗いのに明るい青色は人間が見た
こともない経験なわけですから。ちなみに僕は最初に入った
会社でLEDを扱っていました。青色登場前なのでオレンジと
緑しかなく、小さな電球程度にしか思っていませんでした。
一方で日亜化学工業は、8億円での和解に胸を撫で下ろし
ました。確かに、発明は中村氏自身の功績ですが、環境を
与えたのは企業ですし、失敗のリスクを負うのも企業です。
ただ中村氏がいないとこういう発明はなかったかもしれない
のも事実。この議論はあちこちでさんざん行われたことなの
で今さら取り上げるのすら恥ずかしいのですが、結果的に
いくら議論を続けても解決しないように思います。一つだけ
いえることは、発明当時、企業が研究者をきちんと評価して
おけば問題はこじれなかったのではないかということ。
中村氏のように積極果敢に対価を求める研究者もいれば
島津製作所の田中氏のように、ただただ研究を続ける環境
を求めているだけの人がいるのも事実です。そう考えると
決して中村氏の意見が大勢ではないのかもしれません。
問題なのは、訴訟国家といわれる米国に右に倣えでケチな
企業を批判したり、大御所の裁判官が判決を下したことを
天の声のように評価したり、問題とは離れた場所で議論を
してしまうことです。同様に中村氏が「日本の司法は腐って
いる」と言うので「ああ、腐っているのか」と短絡的に判断
するのも問題ですが。
研究部門を持つ多くの国内企業ではこの問題を機に発明
などに対する対価の見直しを行う動きが活発化しているよう
です。一見、積極的なように見えますが、意地悪な見方を
すれば、明日はわが身と畏れて同じ傘の中に隠れようと
するパフォーマンスのようにも思えます。考えだけを改めても
ノーベル賞受賞後の田中氏に慌てて国内のあちこちで賞の
「追い討ち」が行われたように国内の研究機関や企業は人
の能力を見出す力がないのですから。前述の通りこの問題
はまだ解決していません。この動きが一時期の流行や企業
のパフォーマンスに終わらぬよう祈るばかりです。

長くなりましたが難しい問題をもう一つ。水戸市内の病院
に勤める医師が、自分のホームページに患者の中傷や
診療内容を記載していたことが問題となりました。世間では
医師の愚考として厳しく非難する声もありますが、これも一方
に立って断罪するのは難しいと思われます。例えば、貧乏人
の僻みのように「医師のくせに」と感情的に批判するのは
全く意味がありません。ニュースだけを題材にすると、この
医師は身元を明かしてはいなかったようです。ただ、居酒屋
の場所など特定できる要素は多く、それで身元が判明した
のかもしれません。この場所もそうですが、ブログの発達で
個人のいろいろな考えは一層露出されるようになりました。
表現の自由を盾にいろんなことをゴリオシする人もいますが
僕は限られた範囲の中で自由に書くというのが自分なりの
「表現の自由」だと考えています。このDiaryXXXもそう。
例えば個人をターゲットにしたS・Reportは、内容を柔らかく
したり個人を特定できないよう配慮しているつもりです。
この医師の軽はずみな行動は問題視されるべきでしょうが
中途半端な報道や議論についても考えるべきでしょう。
病院名のみを公表し医師の名前を伏せたりするのも疑問に
思いますし、この問題を一人の医師の愚行として簡単に
処理するのも危険だと思います。Web上で検索してみれば
分かるように患者が医師を批判するホームページや掲示板
は数多くあります。それなら逆の立場で医師が患者を批判
するような表現があってもいいのかもしれません。医師という
だけで表現を封じ込め、一方の表現だけを認めることのほうが
よっぽど危険なように感じます。この医師の一番の問題は
「表現の仕方」だったということが分かります。

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