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December 06, 2004

蓋をするな

今回は差別用語について取り上げます。過去、何度か
取り上げたこともありますが、個人的な意見として掲載
しました。浅はかな知識だけで意見を述べた部分もあり
問題を本質的にとらえて活動している方々には不快に
思われるかもしれませんが、差別用語について考える
場を少しでも増やしたいと思い取り上げています。

「封印作品の謎」(安藤健二著・太田出版)という本を
読んでいます。テレビ番組や映画、漫画などで封印され
たものについて取材したものです。封印作品の中には
ねじ曲がった解釈で封印されたものもあるはずですが
作者は一方的にどちらかを批判することなく取材を進め
ています。商品とは思えないほど誤植が多いですが
読者に考える余地を残すいい本だと思います。
この本では差別用語についても扱われています。

この本の取材で座頭市のセリフ「めくら」「どめくら」を
「目の不自由な人」に変えると作品そのものの雰囲気
を変えてしまうということをいう話がありました。
確かにそうだと思いました。今の世の中は差別用語を
簡単に使うわけにもいかないのですが、メディアで
扱わないにせよ、今の子供には少なくとも差別用語の
存在と種類、何故使ってはいけないかを伝える必要が
あるのではないでしょうか。今は、差別用語を知らない
子供も多いのではないでしょうか。僕が小さい頃、差別
用語を知った時は衝撃的でした。「めくら」のほかに
「つんぼ」「おし」「かたわ」など。もちろん、時代背景は
今と全く違うのですが、昔は差別用語はアニメや漫画
にも普通に使われていました。手塚治虫の作品にも
多くの用語が使われています。数年前に人気が再燃
した「アストロ球団」は復刻にあたり差別用語の部分を
削除したらしいです。「釣りキチ三平」のキチの意味は
そのまんまです。例えば、釣りバカは良くて、釣りキチ
はだめだとしたら、これはまさにとんちの世界です。
「裏日本」もだめなようです。だったら山陽に対する
「山陰」もまずいのではと思うのですが。そう考えると
線引きが厳密には行われていないということが分かり
ます。抗議を受けて自粛する用語から抗議を受けそう
だから自粛する用語まで。それが積もり積もって山の
ようになっています。今は「ブラインドタッチ」も問題に
なるようです。「タッチタイピング」を使うとか。ただで
さえカタカナ言葉が氾濫する中で、少し過剰な反応
だとも受け取れます。少し前では、骨髄スープを使用
した一平ちゃんのCMの「こ・つ・ず・い」の部分が
「エ・キ・ス」に差し替えられたり、築地のマグロの
尾っぽのステーキを大物タレントが食べる場面で
骨の中に詰まったコラーゲンたっぷりの「骨の髄」と
解説。まるで一休さんです。

僕は子供の頃、差別用語という言葉を知り、何故使って
はいけないかを教えてもらいました。差別用語の教育の
場は、家庭であり学校でした。高校の社会科で「土人」
という言葉を使う先生もいました。あらかじめ「土着人」
という解説を加え、地域に土着する人々を愛称として
呼ぶだけで差別用語になるということにもチクッと触れて
いました。今思えば、氾濫する差別用語へのせめてもの
反抗だと考えるのは少し踏み込みすぎでしょうか。
人種差別で言えば、カルピスの印象的なイラストが消え
てしまいました。シンプルで味気ない今のカルピスの
デザインを見ると、あのイラストがちょっとしたスパイス
だったのかなと思います。確かに、おいしそうに飲んで
いましたから。そのほか、ちびくろサンボやジャングル
黒ベエはこのままでは二度と日の目を見ないでしょう。
子供たちは差別的な部分よりストーリーを楽しんでいる
わけですから、その機会を奪うことの方が問題のような
気がします。

今では、差別用語を知らない世代が親になろうとして
いますし、学校で下手に差別用語を扱おうものなら
本質を全く理解していない父兄に叩かれる始末です。
仮に学校で教育したとしても、差別用語についてろくに
教育を受けていない教師が扱うと、ゲーム感覚でねじ
曲がった教育をしてしまいがちだと聞きます。特に関西
以西を中心に同和教育がさかんに行われていますが
これも同和教育の浸透や時代の流れにより差別意識が
薄れていくなかで縮小傾向にあるといわれています。
それはそれで悪い流れではないと思うのですが、何か
本質的なものを置き忘れていないか、これからの子供
たちにも教え続けなければいけないことはないかを
しっかりと考えるべきではないかと思います。

この本では「テレビが世間に神経質になりすぎている」
と発言する関係者の言葉も取り上げています。それは
テレビだけでなく、社会全体に広がっているともいえる
でしょう。問題になりそうな芽を徹底的につぶすことは
逆差別に繋がり何の意味もありません。世の中は平等
でもありませんし、真っ白で綺麗でもありません。それを
あたかも楽園のように子供たちを無菌状態で育てるのは
問題だと思います。
北野武の座頭市では「めくら」という言葉を使っています。
それ故R-15指定になったようですが、これこそが臭い
ものに蓋をする考え。性教育と同じ。今どき寝た子なんて
いないのですから、真っ正面で話をすべきだと思います。

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