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October 31, 2004

二兎

香田証生さんの死亡が確認されたようです。中東の人々は、
かつて西洋の列強に戦いを挑んだ日本に対して、親しみを
感じる人が多いといわれています。結局成果は上がりません
でしたが、交渉に持ち込もうとしたのは、彼らのそうした感情
に訴えかけようとする部分もあったと思います。しかしその
甲斐なく、遺体が発見されました。当初疑われた遺体が香田
さんのものならば、これまでのような斬首でなく銃弾による
殺害であったことや、今のところ殺害の様子がWEBで公開
されなかったりするのは、犯行を行った連中がそうした感情
があったからかもしれません。ですが、許せない行為であり、
日本国民も若者の無謀な行動と一蹴せずに、決して忘れる
ことなく心に留めておく必要があるでしょう。

それにしても、今回の件でも情報が一転、二転しました。
第一報が入った時、別人報道がなされた時、あらためて
本人の遺体が確認された時、こうもコロコロ変わるものかと
報道側の意見も二転、三転しました。最初はあたかも香田
さんが亡くなったような報道を行い、別人報道ではアメリカに
頼らざるを得ない日本政府の情報収集体制を批判し、次の
段階でまた元に戻る…そういう日本政府からの報道にぶら
下がって報道するあなた方は大丈夫なんですか?と思い
たくもなります。

情報に関して、最近も問題が発生しました。長岡市の土砂
崩れ現場での第一報です。「母親生存」「親子3人生存」の
情報が飛び交い、結局は長男のみが救出されました。
現場の混乱ぶりは映像を見ても分かりますが、果たして
こういう情報の伝え方でいいのかとも思います。第一報は
通信社でした。ですが、こういう通信社の情報をもとに新聞
やテレビは報道を行うことも少なくありません。AP、新華社、
ロイターなどもこの通信社の類です。海外からの情報はこう
いったあたりが元ネタのことも多いようです。速報性を求め
られる通信社からのネタは、一方で差し替えなどの訂正も
かなりあります。問題なのは、話が重大になればなるほど
速報性と確実さが求められてしまうという点です。
拉致被害者が帰国する際も何人が帰国するのかを巡って
誤報が飛び交い、混乱の責任をとって通信社の関係者が
処分されました。あの時も結局はチャーター機に何人が
乗っているかの探りあいを報道各社で行っていただけで、
例えば北朝鮮の高官の情報を…という独自ルートでの
取材はなかったといわれています。貧弱な報道体制が続く
限りこうした問題が消えることはないでしょう。今も、企業が
ある件で記者会見を行うというニュースリリースをもとに
ちょこちょこと取材するだけで「速報」とうたったり、会見の
冒頭で外に出て内容を「速報」として伝えたり。ニュース
ソースというものが脆弱で限られたものになっています。
記者会見の場でやたらケータイが鳴っているのは、記者が
会社に呼び出されているからです。あれはうるさい。

香田さんの件では「今後の情報収集体制のあり方に一石
を投じることになるでしょう」と締めくくるニュースもありました。
おそらく、普段はこれといって仕事のない外務副大臣がちょこ
ちょことイラク国内を回って情報収集するだけの体制を非難
したものと思われますが、未だにほとんどの会社がヨルダン
など安全な場所からぬくぬくと火中の栗を拾おうとする自分
たちの報道体制を批判するものでもあるということを肝に銘じ
ておくべきでしょう。アルジャジーラのニュースやWEBのネタ
は我々でも入手できるソースですから。
香田さんの死が決して無駄にならぬよう祈ります。

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