June 05, 2011

プリンセストヨトミ

東日本大震災以降、初の更新となります。最初の映画は何にしようかと迷っていたのですが、SFっぽい映画もいいかなと思い、プリンセストヨトミにしました。この映画を選んだのも、この時期ならではの理由があります。

監督:鈴木雅之
原作:万城目学
音楽:佐橋俊彦
脚本:相沢友子
出演:堤真一(松平元)、綾瀬はるか(鳥居忠子)、岡田将生(旭ゲンズブール)、沢木ルカ(橋場茶子)、森永悠希(真田大輔)、笹野高史(長曽我部)、和久井映見(真田竹子)、中井貴一(真田幸一)ほか

「着地失敗」

プリンセストヨトミ、全く先入観なくタイトルを聞いて「時代劇かな?」と思ったのですが、秀吉には娘がいない。「架空の話かな?」と思ったら、半分当たりでした。

詳しいストーリーは、他の映画サイトをご覧いただくとして、この映画には時機を得たポイントがいくつかあります。

1.日本国内全体でSFに対する免疫が低い。
国民の何分の1かが、東日本大震災という、非日常体験をしていますから、ちょっと並外れた出来事は「ひょっとしたらあるかも」と受け入れやすい土壌になっているといえます。この映画は、軽いSFですから、奇しくも時代に当てはまっているのかもしれません。

2.大阪が主体となっている。
この話、大阪府が主体の話です。東京を含めた東日本は、電力不足や震災、原発で元気がなくなっていますから、大阪が日本を支えていこうという考え方の映画なら、時代にマッチしているといえます。

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
ある理由で、大阪が立ち上がる話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・4点
東京が弱っているなら、大阪が支えていかなければという話なら、時代にマッチしているが、違っていた。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・5点
大阪城からの抜け道。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・5点
大阪城からの抜け道は、都市伝説のようになっているが、それを題材にしたのは興味深い。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
会計検査院の松平が、大阪の秘密を暴こうとするところ。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・5点
ミラクル鳥居。話をそこそこにかき混ぜていて重要な存在。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・8点
秀頼を逃がすシーン。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・0点
泣ける要素は少ない。設定や構成次第では、感動ポイントはいくらでも作れたはずなのに、残念。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・5点
ひょうたん。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
怒りのポイントは皆無。これがあれば、もう少しパンチのある映画になっていたと思う。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(20)+技術点(30)+芸術点(18)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(77)

「F」評価(59点以下)

ここからは若干ネタばれなので、未見の方は注意して下さい。

この映画が、設定の割に見掛け倒しに終わっているのは、出発と着地が同じというところにあります。会計検査院の役人が大阪国の秘密を暴きかけたのに、結局は折れて、何事もなかったこととして終わる。松平は少しだけ心情が変わりますが、ほんの少しだけ。あとの設定は何も変わらない。これでは2時間何だったのか、となってしまいます。

震災が来るなど予想もつかなかったと思いますが、大阪国が誕生した経緯が上手い具合に嘘を並べて作り上げていた割に、大阪国が単に日本に寄生しているというのは、何とも萎縮した設定に終わって寂しい感じがします。

プリンセストヨトミという設定もそう。大阪人は父から息子に大阪国の秘密が継承されるという設定もそう。例外(松平は例外になっているのであまり批判は出来ませんが)の場合はどうするのか?とか、ひょうたんの話は女性も知っていたりとか、肝心なところで矛盾だらけ。

原作があるのでどうにもならないのは分かりますが、もうちょっと工夫すれば、面白い映画になったのにと思えてなりません。

東京が隔離されてしまう「首都消失」という映画も、その理由は謎で、出発も着地も同じです。ただし、東京がだめなら大阪が立ち上がろうとか、それなりにカタルシスがありましたが、プリンセストヨトミは、大風呂敷を広げた割に、こじんまりとまとまってしまいました。ロケは壮大だっただけに、実にもったいないです。

2011年5月29日/ワーナーマイカルシネマズ板橋
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February 23, 2011

英国王のスピーチ

監督:トム・フーパー
製作総指揮:ジェフリー・ラッシュ、ティム・スミス、ポール・ブレット、マーク・フォリーニョ、ハーヴェイ・ワインスタイン、ボブ・ワインスタイン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
脚本:デヴィッド・サイドラー
出演:コリン・ファース(ジョージ6世)、ジェフリー・ラッシュ(ライオネル・ローグ)、ヘレナ・ボナム=カーター(エリザベス)ほか

「優等生の映画」

英国王のスピーチです。アカデミー賞の多くの部門にノミネートされるなど話題の多い映画ですが、評判通り、万人にも勧められる優等生の映画でした。

吃音に悩まされる後の英国王、ジョージ6世と医師免許などももたないスピーチ矯正の専門家、ローグとの友情物語です。映画は予想以上にひどい吃音のジョージ6世のスピーチのシーンから始まります。これでマイナス100からのスタート。そこからどのように這い上がっていくかがポイントの映画になります。

その後の展開も期待を裏切りません。ローグがあらわれ、ジョージ6世との距離が絶妙に変化していきます。これが男女ならラブストーリーです。英国王室の私生活も垣間見えるなど観光要素も充分。最後のスピーチのシーンも感涙ポイントになるなど誰が見ても楽しめ、誰にでも勧められる素晴らしい映画です。

ストーリーも単純なので、アカデミー賞をとろうものなら後世まで語り継がれる名作になりそうです。ただし、第9地区を見た時のような衝撃はありません。強烈な悪人が登場するわけでもなく、目を覆うようなお色気シーンもなく、本当に善人の塊のような映画です。それでいて面白いのですから、レアな映画といえるでしょう。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
吃音に悩まされる英国王が、自身の悩みを克服して国民に愛される話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
悩みの克服は、人間の永久不変のテーマ。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・8点
前時代の吃音の矯正法や英国王室の日常生活などが垣間見える。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・8点
覗き見根性が奮い立つ。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
吃音の克服、英国王の座への思い、兄への嫉妬など全ては真面目な性格によるもの。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
ローグ。ジョージ6世にとって友人であり、兄であり、父であるような存在。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・10点
スピーチ後、テラスに立つジョージ6世一家の背中を見つめるローグのシーン。ジョージ6世のスピーチのシーンも印象的だが、ローグのこのシーンの方がこの映画の全てを物語っているように思えてくる。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・10点
前述のシーン。優等生の映画なので、きちんと感涙ポイントを抑えている。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・10点
ジョージ6世が、幼い頃の辛い思い出をスワニー川に乗せて歌うシーンは、笑えて、泣ける。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
この映画に悪人は出てこない。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(15)+技術点(40)+芸術点(38)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(112)

「B」評価(100~119点)

自信をもってお勧めしたい映画です。

2011年2月21日/シネマート六本木(試写)
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February 20, 2011

冷たい熱帯魚

監督:園子温
音楽:原田智英
脚本:園子温、高橋ヨシキ
出演:吹越満(社本信行)、でんでん(村田幸雄)、黒沢あすか(村田愛子)、神楽坂恵(社本妙子)、梶原ひかり(社本美津子)、渡辺哲(筒井高康)、諏訪太朗(吉田)

「事実は小説より奇なり」

「冷たい熱帯魚」です。この映画に対してはいろんな評価がありますが、注目度の高さは観客動員にもあらわれています。単館系映画ながら、昼間から盛況です。

全く先入観なく観たのですが、この映画で最も印象に残るのは、役者の演技力です。演技派を集めたというのもあるでしょうが、それに刺激されたのか脇役の神楽坂恵の底上げぶりが目立ちます。彼女にとっては転機となる映画になるのかもしれません。

この映画、アイドル系でない方の韓流映画を仮に韓流映画(闇)と呼ぶとすれば、「息もできない」や「チェイサー」を髣髴とさせるドロドロした雰囲気の映画です。それもそのはず、ベースは埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにしているようです。「ボディを透明にする」というのは、まさにそれで、饒舌な主犯をでんでん、事件に巻き込まれていく小心者の共犯者を吹越満が見事に演じています。

埼玉愛犬家連続殺人をはじめ猟奇殺人は、動機も手口も想像を超えることが多々あります。まさに事実は小説より奇なり、です。その題材を得たこの映画は、エロとグロに囲まれながら欲望を果たしていく登場人物たちが見事に描かれています。

ところが、オチが問題です。事実に沿った部分が途切れてしまった後は、想像力の脆弱性ばかりが目立ちました。小心者の主人公がブチ切れる部分は、「バカヤロー!」にも似た爽快感があるのですが、そこから後が問題です。ぐだぐだ自主映画みたいな能書きをたれた挙句、最後の娘のセリフも陳腐です。壮大な風呂敷を広げられて、最後は下北沢に戻ってきたみたいなちぐはぐな展開でした。

韓流映画

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・4点
何もいえない小心者の主人公が、怒りと欲望を爆発させる話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
人間の欲望は永久不変。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・9点
ボディを透明にする。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・9点
怖いもの見たさ。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・4点
終盤までは貫通行動があったが、最後のシーンで人格が壊れてしまった。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・10点
でんでん演じる主犯。むしろこの男の映画と言ってもいい。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・8点
ボディを透明にする。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・6点
主人公がブチ切れる部分は、感動にも似た爽快感はあった。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・6点
上記のシーンには、常軌を逸した笑いの要素もあった。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・2点
悪者だらけの紙芝居を見ているような映画なので、意外と怒りの要素は少ない。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(20)+技術点(34)+芸術点(32)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(102)

「B」評価(100~119点)

テレビドラマの延長線上の映画が席巻する中で、冷たい熱帯魚は映画でしか映像表現のしようがない映画といえます。テレビと同じような自主規制が溢れる中で「映画なら、ここまで表現してもいいんだ」と、改めて映画の可能性を復活させるものさしとして、存在価値のある映画と言えます。

終わり方に賛否両論あると思いますが、必見の映画です。

2011年2月14日/テアトル新宿
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February 19, 2011

ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島

監督:マイケル・アプテッド
原作:C・Sルイ
音楽:デヴィッド・アーノルド
脚本:クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー、マイケル・ペトローニ
出演:ベン・バーンズ、ゲイリー・スウィート、スキャンダー・ケインズ、ウィル・ポールターほか

「脱力系」

ナルニア国もついに3作目です。1作目のひどさに疲れ果てて、2作目はスルーしたのですが、腐れ縁なのか試写会が当たってしまい、観てきました。2作目もレンタルして予習したのですが、5%ぐらいしか理解出来ませんでした。いきなり地下鉄の駅で「手をつなごう」と言って別世界に行ってしまうのですから、理解出来るはずがありません。

3作目も突拍子もないタイミングで別世界に旅立つのですが、既に4兄弟のうち2人は大人になり、下の2人が旅します。ポイントは、憎たらしい従兄弟がついてくると言うところ。実はこの子がいなければ、子供たちがよく分からない場所を冒険するだけの映画になってしまったことでしょう。

従兄弟の心の変化があるからこそ、ナルニア3はややまともな映画に仕上がっています。他にもスターウォーズとか、ゴーストバスターズ、エイリアンなどのパロディっぽい部分があります。第1作目は、ロード・オブ・ザ・リングを意識したようなクソ真面目な雰囲気が鼻についたのですが、3作目は良い意味で力が抜けていたような感じがしました。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・3点
子供たちが世界の果てに行く。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・1点
???

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・0点
ない。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・0点
ない。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・3点
子供たちは世界の果てに行く。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・8点
小憎たらしい主人公兄妹の従兄弟。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・8点
ねずみ?が世界の果ての向こうに行こうと決断するシーン。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・6点
大人になると別世界には来れないというルールは、一種のカタルシスがある。主人公たちは最後の旅、従兄弟はまだ来れるという分け目があるのも境目のカタルシスがある良い設定。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・2点
従兄弟の心の変化は、それなりの笑いも込められている。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
真の悪人は出てこない。

【減点項目】
・減点なし

基礎点(15)+技術点(7)+芸術点(24)×1.5-減点=CinemaX指数

「F」評価(59点以下)

E評価まであと1歩ですが、シリーズで一番面白くなくはない映画に仕上がっているのは、従兄弟の存在が大きいといえます。余計なことばかりする末娘は健在ですが、成長してキーキー言わなくなったことで映画が観やすくなりました。3Dにした意味はほとんどないと思いますが、ナルニア国ファンの方は是非、大きなスクリーンでお楽しみください。

2月10日/ワーナーマイカルシネマズ板橋(試写)
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February 15, 2011

犬とあなたの物語 いぬのえいが

監督:長崎俊一、石井聡一、江藤尚志、川西純、中西尚人、水落豊
脚本:太田愛、山田慶太、川西純
出演:大森南朋、松嶋菜々子、堀内敬子、篠田麻里子、生瀬勝久、小倉智昭

「二番煎じ」

いぬのえいがです。2004年に上映された「いぬのえいが」の続編にあたる映画です。何となく「犬と私の10の約束」と似ていますが、こちらは関係ありません。

いぬのえいがは、基本的にオムニバスなので、続編もこの流れを踏襲しています。小ネタをいくつかと、大きめのが1つ、中くらいなのが1つ。前作は大きめの話が、広告プランナーが幼い頃に飼っていた犬と夢のような空間で再会する話。これは泣けます。中くらいの話は、大きな話と連動した役者の卵と犬の話。そして、最後に流れた飼い主と飼い犬の話もエッセイのような感じですが、テンポ良くて泣けます。

続編も同じ構成で面白くなくはないですが、やや苦しい感じでした。それでも動物を扱うのは至難の業ですから、相当に苦労したことでしょう。

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
犬と飼い主、それぞれのエピソード。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
飼い主のペットへの愛は不変。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・0点
目新しさはなかった。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・0点

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
登場する人物の誰もが動物を愛している。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・4点
大森南朋演じるプログラマー?の葛藤は観客に伝わってくるが、ペットとあまり関係ない方向に向かってしまった。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・4点
最終話で主人公がドッグフードのかけらとか毛玉などペットのかけらを見つけるシーン。それなりのカタルシスはあったが、中途半端に終わってしまった。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・2点
感涙ポイントは前作に比べ遥かに少ない。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・4点
一方、冒頭のコント的ないくつかのストーリーは、前作より面白かった。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
怒りのない映画。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(20)+技術点(24)+芸術点(14)×1.5(0)-減点=CinemaX指数(65)

「E」評価(60~69点)

前作に比べキャストがパワーアップしているにもかかわらず、全般的には二番煎じの域を超えられない映画にとどまってしまいました。

2011年1月29日/ワーナーマイカルシネマズ板橋
Main
前作「いぬのえいが」より

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February 13, 2011

キック・アス

監督:マシュー・ヴォーン
製作総指揮:ピエール・ラグランジェ、スティーヴン・マークスほか
音楽:ジョン・マーフィ、ヘンリー・ジャックマンほか
脚本:ジェーン・ゴールドマン、マシュー・ヴォーン
出演:アーロン・ジョンソン(キック・アス)、クリストファー・ミンツ=プラッセ(レッド・ミスト)、マーク・ストロング(フランク・ダミコ)、クロエ・グレース・モレッツ(ヒット・ガール)、ニコラス・ケイジ(ビッグ・ダディ)

「イカれた人たちのイカれた映画」

キック・アスです。周囲でご覧になった方の評判が良かったので、楽しみにして観たのですが、期待を裏切らないものでした。それでいて上映劇場が限られているのは…観れば分かると思います。苦手な人も結構いるはず。

キック・アスは、等身大のヒーローを扱っています。スパイダーマンをはじめとするアメコミの実写映画は、普通の人間がある日、超越した力を得てヒーローになるという設定が多いのですが、キック・アスの主人公は通販で手に入れたスーツで血まみれになりながら戦うという、少し違った設定です。

そういうアイデア自体は、おそらくこれまでもゴロゴロあったはずで、下北沢でも珍しくないはずです。主人公の人間ドラマだけだったら、そこで終わっていたはずなのですが、強烈な1人のキャラクターで、この映画はキュッと引き締まった、良くも悪くも刺激的な映画になっています。

そのキャラクターとは「ヒットガール」です。少女が所狭しと悪人を殺しまくるというこの設定が、映画を見ごたえのあるものに仕立てています。このキャラクターがいなければ、ゆるいアナログヒーローもので魅力は半減どころか10分の1になっていたことでしょう。

ヒットガールは強い強いキャラクターなのですが、それでも強さは等身大ギリギリ。魅力的ではあっても無駄にクローズアップすることもなく、あくまで脇役の1人としてストーリーは進行します。それだからこそ、まるでアメコミを観るかのごとく映画を傍観していられるのでしょう。


【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
ヒーローに一度なってみたいと願う青年が、本当にヒーローになってしまう話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
ヒーローへのあこがれは不変のテーマかもしれない。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・8点
等身大ぎりぎりで強い強いヒットガールの設定は面白かった。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・8点
強くなった理由も納得出来るものだった。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・8点
主人公をはじめ登場人物の中でまともな人は少ない。それでもストーリーが破綻しないのは、キャラクター設定がしっかりなされているからだと思われる。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・10点
ヒットガール。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・10点
ヒットガールの変身前の少女のトレーニングシーン。防弾チョッキを着て父親に発砲されるシーンに「なんだこれは?」と思うのが、全ての始まりだった。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・8点
イカれた登場人物たちが、自分たちの性格の範囲で自分の信念を押し通そうとする姿には、何故か感涙ポイントがある。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・8点
ヒットガールとレッド・ミストの父親との等身大での最強決戦の傍ら、別室でキック・アスとレッド・ミストがショボい対戦をするのがおかしかった。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・8点
イカれた人物の中で、レッド・ミストの父親だけは真の悪。このキャラクターにだけは怒りを抱くことが出来る。

【減点項目】

基礎点(15)+技術点(40)+芸術点(44)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(121)

「A」評価

パッケージングされた面白い映画です。お近くに上映劇場がなかった方は是非、DVDやブルーレイの発売後に一度触れてみてください。私は曲が面白かったので、CDを買いました。

2011年2月1日/池袋テアトルダイヤ
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February 12, 2011

人生万歳!

監督:ウディ・アレン
製作総指揮:ヴァンサン・マラヴァル、ブラヒム・シウア
脚本:ウディ・アレン
出演:ラリー・デヴィッド(ボリス)、エヴァン・レイチェル・ウッド(メロディ)、パトリシア・クラークソン(マリエッタ)、ヘンリー・カヴィル(ランディ)、エド・ベグリー・Jr(ジョン)ほか

「お後がよろしいようで」

恵比寿ガーデンシネマが閉館するということで、葬式鉄ならぬ葬式館に行ってきました。
人生万歳!は、ウディ・アレン監督作品です。もともとあの監督はどういう映画を撮るとか固定観念はないのですが、ウディ・アレンは監督と作品のイメージが頭の中で連動する数少ない映画監督です。

映画自体は、老人の家に若い女が転がり込んで、次々と話が転がり込んでくるストーリー。本当に突拍子もなくて、主人公の老人が巻き込まれる事件も行き当たりばったりなのですが、何となく映画として成立しているのは、老人や若い女性の心の変化が明確に描かれているからでしょう。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・8点
堅物の老人が若い女に出会うことで人生を変えていく話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・8点
独居老人、老いて凝り固まった頭でさえ変えられるというところにカタルシスが感じられる。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・2点
老人がいちいちカメラ目線で観客に話してくる。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・2点
登場人物がカメラ越しに語りかけてくる映画を観たのは、オースティン・パワーズ以来か。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・7点
老人の性格が堅物というところは一貫している。これがブレていたら、手のつけられない行き当たりばったりの映画になっていただろう。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・5点
主人公の老人と若い女。この若い女についても心の変化が描かれている。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・6点
老人が二度目の自殺を図るシーン。唐突過ぎてびっくり。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・2点
若い女が老人から離れていくシーンは、物理的にどうにもならない理由があることに加え、2人の気持ちの変化と交錯が描かれているように思えた。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・3点
突拍子もない事件は、笑える。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・1点
若い女の母親の娘を思っての一連の行動は、理解できる部分もあるが、怒りを感じる要素もあるだろう。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(15)+技術点(27)+芸術点(17)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(68)

「E」評価

恵比寿ガーデンシネマで上映される映画は、面白くなてもお洒落なら「ガーデンシネマっぽい」と評価されるなど都内の単館系映画館の一翼を担っていましたが、近年はシネコンでも掘り出し物の映画を上映する一方、集客のためか恵比寿ガーデンシネマでもシネコンと同じ普通の映画が上映されたりと差別化が上手く行ってなかった印象があります。

その中で他があまり見向きもしない「人生万歳!」を上映したのは、最後の最後で「らしさ」を出せたのではないかと思います。一時代を築いた恵比寿ガーデンシネマおよび関係された方々に敬意を表します。

2011年1月14日/恵比寿ガーデンシネマ
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December 19, 2010

SPACE BATTLESHIP ヤマト

監督:山崎貴
原作:西崎義展
音楽:佐藤直紀
脚本:佐藤嗣麻子
出演:木村拓哉(古代進)、黒木メイサ(森雪)、柳葉敏郎(真田志郎)、緒形直人(島大介)、西田敏行(徳川彦左衛門)、高島礼子(佐渡先生)ほか

「浮気心が糞心」

スペースバトル…面倒くさい、宇宙戦艦ヤマトの実写版です。かなり前から準備が進められていて、エリカ様騒動がなければ彼女が森雪役でとっくに完成していた映画です。噂によるとこの騒動による封切り延期がネックとなり、パチンコをはじめ周辺の会社が大打撃を受け、中には倒産した企業もあるそうです。

それだけのリスクを追いながら、さんざんな評価が多いTBSが60周年をかけて公開する映画がスペースバトル…です。世界に初挑戦するSF映画とのことですが「さよならジュピター」は?世界の挑戦した映画って、殆ど惨敗してるんじゃない?とか、さまざまな評価が飛び交う壮大なコスプレ映画、スペースバトルシップ…の評価やいかに。

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・10点
美しい地球を取り戻そうと日本人が戦艦大和を再浮上させて立ち上がる話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・10点
元気のない日本を勇気付ける強烈なメッセージがこめられている。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・0点
既に陳腐化しているため評価は出来ないが、戦艦大和を再浮上させるという点は、アニメ作成当時は壮大かつ斬新なアイデアだったのだと驚かされる。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・0点
アニメ放映当時なら満点クラスの魅力。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・10点
美しい地球を取り戻すため、イスカンダルのようでイスカンダルでない、ガミラスのようでガミラスでない星に向かう点は、一貫している。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・5点
原作では確か11番惑星で拾った斎藤という太っちょの戦士を主役と絡む重要なポストに引き上げたあたりは興味深い。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・1点
ガミラスに降りてからの壮大なコスプレコント。努力は評価できるが、イスカンダルとガミラスの設定がすべてをぶち壊している。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・1点
原作では沖田艦長の死はかなりの感動があったが、実写だと後半はドタバタ劇になるので泣けなかった。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・0点
古代進が熱くなれば熱くなるほど、生身のキムタクにしか見えないところは笑えるが、ここでは評価外。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
ガミラスが何故、地球を攻撃するのか、動機とガミラスの実態があいまいすぎる。

【減点項目】

・減点なし

基礎点(20)+技術点(30)+芸術点(7)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(61)

「E」(60~69点)

実写版と原作の人物設定の違いを評価する人も多いようですが、原作でも佐渡酒造と徳川彦左衛門のキャラがかぶったり(声優も)、真田と相原が若干、かぶったりするので片方が女性でもあまり違和感はないと思いますが、問題はガミラスとイスカンダル、そして後半部分の設定。

いじる必要がありますか?

この映画、もとは沈んでいる日本をもっと活気付けようとする映画かと思っていました。原作はもともと高度経済成長がひと段落し、立ち止まったことで再び敗戦ノスタルジーに襲われ始めた日本をもう一度浮上させようと、南の海に沈んでいる戦艦大和をもう一度再浮上させようとさせた側面もあります。

戦争を経験した世代、原作に親しんだ世代、戦争も原作も知らない世代にも訴える良い機会といえるでしょう。海外の人たちがこの心理を理解できるとは思えませんが、世界に進出するのもまあ、いいでしょう。

だったら、ガミラスやイスカンダルの設定まで変える必要なないでしょう。原作はもともと件の理由でプロデューサーの故・西崎義展氏をはじめ大の大人が寄ってたかって作った話です。それをいじって意味不明なとんちにしてしまったことで、映画の魅力が完全に殺がれてしまいました。これなら宗教じみた終わり方のテレビ版エヴァンゲリヲンやリアリティ溢れる嘘の理論を散りばめたトップを狙え!の方が100倍面白いように思います。

2010年12月12日/シネプレックス新座
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December 17, 2010

武士の家計簿

監督:森田芳光製
原作:磯田道史
音楽:大島ミチル
脚本:柏田道夫
出演:堺雅人(猪山直之)、仲間由紀恵(猪山駒)、松坂慶子(猪山常)、西村雅彦(西永与三八)、草笛光子(おばばさま)ほか

「20枚シナリオ映画」

「武士の家計簿」です。巷では「ぶしかけ」と呼んだりもするようです。江戸時代の下級武士の家計、大いに気になるじゃないですか。1ヵ月どれぐらいのお金をもらって生活していたのか、どんな風に節約して家計の危機を脱したのか、多いに気になるじゃないですか。

それは転じて、赤字が膨らむ現在の国家財政や景気低迷で悲鳴をあげる現代の日本人の家計にも直結するじゃないですか。まさに時代を切り取った映画になるのかなあという印象でしたが、

張り切って映画館に行って、冒頭で誇らしげに表示されるテロップを観て、固まってしまいました。

「森田芳光監督作品」

監督に対する印象はあまり持っていないのですが、森田監督に対しては、新鮮な魚でビーフステーキを作ってしまうという先入観を抱いています。つまり、方向性がとんちんかん。

確かに「(ハル)」では、インターネット(当時はパソコン通信)を駆使した作品として先見の明があったといえますが、原作があれだけ面白かった「黒い家」を滅茶苦茶にしてくれたりとガッカリ度が高い映画監督です。

それでも次々と世に作品が生み出せるのですから、監督以外の(例えばプロデューサーとか)もっと違った方向に自分の才能を持っていけばいいのにとも思うのですが。

評価に移ります。

【基礎点】

一般の邦画(20点)
・20点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・2点
下級武士が家計簿をつけて苦難を乗り切る話と思いきや、この部分はほんの少し。後はうす伸ばししたような主人公の父親や息子、家族のエピソードがちりばめられており、あんこが少ない饅頭のような印象。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・2点
「苦難を乗り切る」という点で、歳入より支出が多い現在の日本の国家財政や景気低迷で困窮する家計に共通する部分があるはずなのに、タイトルに関した「武士の家計簿」などどこ吹く風で群像劇に終始してしまったのは残念。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・1点
使用人を2人抱える下級武士が、現在の貨幣価値に換算して1ヵ月どれぐらいで生活していたのかは興味のあるところ。その家がどのぐらい借金をして、どのように家計を立て直していくのかは興味のあるところだが、残念ながらこれらの期待には殆ど応えてくれない残念な映画でした。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・1点

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・6点
算盤馬鹿というところは徹底していた。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・1点
話が細かくなるが、冒頭の家族紹介に「おばばさま」とテロップを入れるのはいかがなものか。他の家族は皆、名前なのに。中途半端なら入れないほうがいい。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・2点
算盤をめぐって主人公親子が対立するシーン。ただし2つもいらないし、無事な算盤を見て「今度は守ったぞ」というセリフもいらない。何年経ってるんだ?

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・2点
何人かの人がなくなるが、人が死ねば悲しいのは当たり前。群像劇に終始して人物描写が希薄なため、それ以前の積み重ねが感じられないのが残念。ただし松坂恵子の怪演で常の死だけはそれなりのカタルシスが感じられた。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・1点
どこか1ヵ所で笑った記憶があるが、思い出せない。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・0点
極悪人が出ないそこそこ良い人だらけのパンチのない時代劇。

【減点項目】

筋違いのPRが行われている(-10点)
・-5点
内容に対するPRの仕方を見ると「武士の家計簿」と冠するのはやや看板に偽りあり、のような気がする。

基礎点(20)+技術点(10)+芸術点(6)×1.5-減点(5)=CinemaX指数(34)

「F」評価(59点以下)

眠くはならなくてもいまいち乗れないのは、シーンの最後を端折ったり、説明台詞が多いからかなあと思いましたが、脚本の方を見て納得しました。

「柏田道夫」

柏田氏は某シナリオ講座の超人気講師で、受け持っているゼミの「入ゼミ待ち」が半年とも1年ともいわれている方です。当人は映画の楽しみ方を教えてくれる良い専制なのですが、信者が多いのか各サイトのレビューでもベタ褒めする人が割と多いのが興味深いです。

「シナリオは省略の技術」「回想シーンは使わない」という某シナリオ講座の鉄則を用いると、こういう映画も出来るんだなあと言うお手本のような映画だと言えます。堺雅人ファンならスクリーンの大きな劇場で、そうでない方はテレビで放映されたら、ちょこっとチェックしてみるといいでしょう。

2010年12月11日/シネプレックス新座
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December 14, 2010

レオニー

監督:松井久子
音楽:ヤン・A・P・カチュマレク
脚本:松井久子
出演:エミリー・モーティマー(レオニー・ギルモア)、中村獅童(野口米次郎)、原田美枝子(津田梅子)、竹下景子(小泉セツ)ほか

「他人史」

「レオニー」です。絶対にチョイスしないタイプの映画なのですが、友人の姉がいっちょカミしているとやらで前売券を購入、観て来ました。

「レオニー」は、イサム・ノグチという、恐らく多くの人は名前を聞いたことはあってもどんな人かピンと来ない人物の母親を描いた映画です。これがさらにピンと来ない。

史実かどうか分かりませんが、津田梅子や小泉八雲の妻との交流も描かれていますが、これが逆に嘘っぽく感じられました。ただ、この部分がないとピンと来ない人達を描いた本当にピンと来ない映画になってしまいますから、調味料程度としてはいいのかもしれません。

人の生き様は興味があると思いますが、それは親しい人、あるいは有名人のものに限られるでしょう。良く分からない人の人生を見せられるとこうなるんだという要素が、この映画にはあります。

主人公のレオニー。確かに人生は波乱万丈なのですが、あまりにもストレートに話が展開するので、ただ流されているだけのようにしか思えなかったりします。

つわりを覚えて、すぐに出産シーンとか、変な咳をして、次は葬式のシーンとか。レオニーが葛藤する暇がなく話が展開してしまうところに、物足りなさを感じました。

【基礎点】

一般の洋画(15点)
・15点

【技術点】

テーマははっきりしているか(10点)
(一言で説明出来るか/魅力的だったか)
・4点
戦前の日本を訪れた米国人女性が、日本人男性との混血児を守り、育てていく話。

そのテーマは時代にマッチしているか(10点)
(今の時代に当てはまるような要素があるか)
・2点
日本人と外国人のハーフが珍しくなくなった今、前時代の話かなあ、と思ってしまう。

観光要素はあったか(10点)
(何か目新しく感じられる要素はあったか)
・2点
明治村を駆使したであろう戦前の町並みは、それなりに雰囲気はあった。

観光要素は魅力的だったか(10点)
(その観光要素は魅力的なものだったか)
・2点
同上。

主人公に貫通行動があるか(10点)
(主人公の目的=欲望がはっきりしているか)
・6点
子供達を守ろうとするところには貫通行動があるが、どこかだらしないのが気になる。

【芸術点】

印象に残る人物はいたか(10点)
(多くても1、2名に限る。それ以上いたら逆効果なので減点)
・4点
レオニーの英会話の生徒3人。この中の1人が後に出産する長女の父親なのだが。

印象に残るシーンはあったか(10点)
(多くても1、2シーンに限る。それ以上だと逆効果なので減点)
・2点
ヨネがレオニーに妻の存在をカミングアウトするシーン。

泣けたか(10点)
(ストーリーの流れで泣けた部分はあったか=単に人が死んだとか、物理的な悲しさは評価外)
・2点
観客は口をあんぐりと開けて観ているだけなので、レオニーが泣いても感情がなかなか伝わらない。

笑ったか(10点)
(ストーリーの流れで笑った部分はあったか=主人公の仕草とかで笑いを誘った場合は評価外)
・0点
中村獅童の金太郎飴のようにワンパターンな演技は笑えるが、ここでは評価外。

怒りを覚えたか(10点)
(ストーリーの流れで怒りを覚えた部分はあったか)
・2点
ヨネがレオニーに妻の存在をカミングアウトするシーン。

【減点項目】

・減点なし。

基礎点(15点)+技術点(16点)+芸術点(10点)×1.5-減点(0)=CinemaX指数(46)

「F」評価(59点以下)

レオニーの感情はさっぱり伝わって来ない映画なのですが、まがりなりにもハリウッド女優のエミリー・モーティマーが、良く分からない映画に出演するために日本に連れてこられて、ポカーンとしている雰囲気は伝わってくるような感じがしました。

2010年12月10日/シネ・リーブル池袋
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